こんばんは。
日が長くなってのんびりと過ごしていたら、スーパーの閉店時間に間に合わず、素麵を買い損ねた小木特産品クラブ担当の小松です。
みなさまは佐渡の植物研究に力を注いだ伊藤邦男先生をご存じでしょうか。
伊藤先生は高校の生物の先生で、草木と人間をこよなく愛し、植物を生態的・民族的・文化的観点から調査し、多くの著書を遺された方です。
今回、回顧展の準備に関わらせていただき、ご子息の伊藤芳樹さんと、先生の蔵書整理から関われている磯野保さんより伊藤先生のエピソードを伺うことができたので、私の所感も織り交ぜながらご紹介します。
佐渡には季節ごとに多種多様な花が咲きますが、ここで暮らす人々はそれを暦にしてきました。
例えば、大野亀での絶景が有名なカンゾウですが、佐渡の言葉ではヨーラメと呼ばれています。
ヨーは魚のイオが転じたもの。鯛が産卵する時期になると咲く花だから、魚(イオ)孕(ハラミ)と言われています。
(また、カンゾウのつぼみは10〜12個あるのが1日1つずつ咲いて夕方だめになるから「夕だめ」が訛って「ユーラメ」から「ヨーラメ」となっていたという説もあるそう。)
ヨーラメのように、漁の時期を知らせてくれる花もあれば、春告花といわれ仕事始まりのサインとなる花もあり…花を自然暦として暮らしのリズムを作ってきたのです。
このふうに先生は「植物学」という硬いものより、花と人間のお付き合いに関心を持っていたそうです。
そんな人間と植物が大好きな先生が、島中を巡って聞いて回った佐渡の文化や知恵は、自費出版という形で20冊が世に出されました。
三兄弟の次男である芳樹さんは、中学生くらいから出版のために本の清書をお手伝いされたそう。
そんなわけで、著作のなかでは三兄弟の字が混ざっているとのことでした。(今度はそれを意識して読んでみたいです!)
父としての伊藤先生について、芳樹さんは
「植物のことを好きでやってて、他の人に教えたりできると『先生ありがとう』と言われるけれど、そこには母の苦労や内助の功もあったんだよね。
極楽とんぼみたいに、ふらふら好き勝手して家事手伝い一切しない。
うちはじゃがいもも育ててたけど、畑仕事も一切手伝わないし、たまに畑にくると花を眺めている。
こんな生き方を普通の人の常識では「好き放題してる』って見方もあるけど、やっぱり『自分の人生だから自分が楽しく生きるのが大事なことなんだよ』って教えてくれたのかもしれない。」と話されていました。
野草の知恵や、その土地ならではの植物の文化は残そうとしなければ失われていってしまうもの。
先生が好きなことをつきつめて下さったから、貴重な知恵の蓄積が残されたこと。
その過程ではご家族のあたたかい協力があったのですね。
最期の著作である「自然と草木と人間と」という本では、先生がなぜ植物学を目指したかを語られています。
海辺に咲く花は山や公園にはないように、植物は自分が生きる場所を知っている。人間もそこを見習うべきだ。人間も海と山と都会と自分の性分にあったところに…そんなメッセージも残されています。
私も、いろんな土地を旅しながら自分の暮らす場所を探していますが、自分の性分との相性というのは土地そのものの魅力よりも大切だと感じています。
先生は13年前に亡くなられており、私は直接お会いすることは叶いませんでしたが、野草研究家の菊池はるみさんを通して、野草のゆたかな世界に出会うことができました。
先生の遺した佐渡の宝物が、こうして次の世代に引き継がれ、形をかえながらSNSなどにも広がっている…。
ともすれば、図書館の奥や博物館の中だけに眠りがちな先人の知恵が、今もいきいきと暮らしの喜びににつながっていることも、佐渡の素敵なところだと感じています。
伊藤先生も菊池はるみ先生も、どちらも義務からではなく個人の熱意から活動されている、そんな佐渡の方の生き方も憧れますね。
佐渡にはまだまだ光の当たっていない、埋もれた巨人たちが多くいるようです。
生きている人だけでなく、そんな先人たちに出会えるのも楽しみです。
『花と小父さん 草木に人生と教育を学んだ男』伊藤邦男回顧展
日が長くなってのんびりと過ごしていたら、スーパーの閉店時間に間に合わず、素麵を買い損ねた小木特産品クラブ担当の小松です。
みなさまは佐渡の植物研究に力を注いだ伊藤邦男先生をご存じでしょうか。
伊藤先生は高校の生物の先生で、草木と人間をこよなく愛し、植物を生態的・民族的・文化的観点から調査し、多くの著書を遺された方です。
今回、回顧展の準備に関わらせていただき、ご子息の伊藤芳樹さんと、先生の蔵書整理から関われている磯野保さんより伊藤先生のエピソードを伺うことができたので、私の所感も織り交ぜながらご紹介します。
佐渡には季節ごとに多種多様な花が咲きますが、ここで暮らす人々はそれを暦にしてきました。
例えば、大野亀での絶景が有名なカンゾウですが、佐渡の言葉ではヨーラメと呼ばれています。
ヨーは魚のイオが転じたもの。鯛が産卵する時期になると咲く花だから、魚(イオ)孕(ハラミ)と言われています。
(また、カンゾウのつぼみは10〜12個あるのが1日1つずつ咲いて夕方だめになるから「夕だめ」が訛って「ユーラメ」から「ヨーラメ」となっていたという説もあるそう。)
ヨーラメのように、漁の時期を知らせてくれる花もあれば、春告花といわれ仕事始まりのサインとなる花もあり…花を自然暦として暮らしのリズムを作ってきたのです。
このふうに先生は「植物学」という硬いものより、花と人間のお付き合いに関心を持っていたそうです。
そんな人間と植物が大好きな先生が、島中を巡って聞いて回った佐渡の文化や知恵は、自費出版という形で20冊が世に出されました。
三兄弟の次男である芳樹さんは、中学生くらいから出版のために本の清書をお手伝いされたそう。
そんなわけで、著作のなかでは三兄弟の字が混ざっているとのことでした。(今度はそれを意識して読んでみたいです!)
父としての伊藤先生について、芳樹さんは
「植物のことを好きでやってて、他の人に教えたりできると『先生ありがとう』と言われるけれど、そこには母の苦労や内助の功もあったんだよね。
極楽とんぼみたいに、ふらふら好き勝手して家事手伝い一切しない。
うちはじゃがいもも育ててたけど、畑仕事も一切手伝わないし、たまに畑にくると花を眺めている。
こんな生き方を普通の人の常識では「好き放題してる』って見方もあるけど、やっぱり『自分の人生だから自分が楽しく生きるのが大事なことなんだよ』って教えてくれたのかもしれない。」と話されていました。
野草の知恵や、その土地ならではの植物の文化は残そうとしなければ失われていってしまうもの。
先生が好きなことをつきつめて下さったから、貴重な知恵の蓄積が残されたこと。
その過程ではご家族のあたたかい協力があったのですね。
最期の著作である「自然と草木と人間と」という本では、先生がなぜ植物学を目指したかを語られています。
海辺に咲く花は山や公園にはないように、植物は自分が生きる場所を知っている。人間もそこを見習うべきだ。人間も海と山と都会と自分の性分にあったところに…そんなメッセージも残されています。
私も、いろんな土地を旅しながら自分の暮らす場所を探していますが、自分の性分との相性というのは土地そのものの魅力よりも大切だと感じています。
先生は13年前に亡くなられており、私は直接お会いすることは叶いませんでしたが、野草研究家の菊池はるみさんを通して、野草のゆたかな世界に出会うことができました。
先生の遺した佐渡の宝物が、こうして次の世代に引き継がれ、形をかえながらSNSなどにも広がっている…。
ともすれば、図書館の奥や博物館の中だけに眠りがちな先人の知恵が、今もいきいきと暮らしの喜びににつながっていることも、佐渡の素敵なところだと感じています。
伊藤先生も菊池はるみ先生も、どちらも義務からではなく個人の熱意から活動されている、そんな佐渡の方の生き方も憧れますね。
佐渡にはまだまだ光の当たっていない、埋もれた巨人たちが多くいるようです。
生きている人だけでなく、そんな先人たちに出会えるのも楽しみです。
『花と小父さん 草木に人生と教育を学んだ男』伊藤邦男回顧展
迷い続ける自分の為、人の為、植物(植生)に「なぜ君はその場所で、芽を出し花を咲かせ
散っていくのか」を問い続けた男。
「生きるとは何か、人生とは?」の永久な課題を植物、草木を通して優しく問いかけて来る。
この人は、高校生徒だけでなく友人や家族、仲間たちにも問いかけていた。
期間 2023年7月1日~8月31日 午前10時~午後4時(月、火曜休み)
場所 真野新町交差点 森ギャラリー(旧・森医院隣)
主催 佐渡の植物刊行会 協力 新町商店会・佐渡の文化を守る会
お問い合わせ 伊藤芳樹 070 4139 2099
場所 真野新町交差点 森ギャラリー(旧・森医院隣)
主催 佐渡の植物刊行会 協力 新町商店会・佐渡の文化を守る会
お問い合わせ 伊藤芳樹 070 4139 2099
著書の展示はもちろん、写真、俳句、原稿や、帽子やループタイなどの愛用品も見ることができます。
伊藤邦男氏の“におい”が感じられる空間です。




コメント
コメント一覧 (6)
小松さんの、書いていただいた内容がまさしく
父親の人物像、考え、存在そのものでした。
たくさんのかたに、関わりお世話になり、今もこうして、いろんな方に、回顧していただき
うれしい限りです。
先日はお忙しいなか、貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。
いいなぁ、と思うお話を聞かせていただいても、発信することに苦手意識がありなかなか投稿に至らなかったので、勇気を出して書いた記事で、ご本人にそう感じていただけて本当に嬉しいです!
今後とも魅力的な佐渡人について、私なりに発信していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
静かに、自分と向き合い自分をみつめること
、
そのひとらしさが、ことば、もじに
でてくるのでしょう。
小松さんの、優しい文章またおめにかかりたいです。
伊藤邦男さんのことを知りまして、どうしても先生の著作を入手したいと熱望しております。
Amazonや日本の古本屋とうでも調べたのですが、思うように見つけることができませんでした。
どちらで入手できますかご教授いただけますでしょうか。
ご様子いただけますようでしたら幸いです。
大森様
佐渡市役所 金井地域センター 伊藤と申します。
ブログを掲載いたしました小松隊員が既に退任しておりますので、わかりに伊藤からご返答させていただきます。
伊藤邦男先生の著作物について、入手可能か入手方法はどのようになるか、について
現在、ご子息に確認を行っております。
確認できましたら、改めて回答させていただきます。
以上、よろしくお願いします。
大森様
伊藤邦男先生の著作につて、途中経過となりますが、お伝えします。
佐和田文庫(佐渡の書店)に問い合わせたところ、「書店としても入手を切望するが、
入手できない状況です」とのことで、入手は困難なようです。
因みに、佐渡市の図書館では蔵書されております。
現在、古本としてネットでも購入可能と思われる著書がございましたので、下記に掲載します。
南佐渡小木の植物 佐渡の植物 第1集 佐渡の植物刊行会
佐渡の植物ガイド 佐渡の植物 第2集 佐渡の植物刊行会
佐渡植物民俗誌 佐渡の植物 第3集 佐渡の植物刊行会
佐渡の植物誌 佐渡の植物 第4集 佐渡の植物刊行会
佐渡植物風土記 佐渡の植物 第5集 佐渡の植物刊行会
佐渡植物歳時記 佐渡の植物 第6集 佐渡の植物刊行会
これは、伊藤邦男先生が中心となり編纂されています。ネットで検索いただければ、ご確認できると思います。
また、著書ではございませんが、Youtubeに先生の肉声がアップされています。
Youtubeで”講演「佐渡の植物」伊藤邦男”で検索してみてください。
かなり雑音混じりの音声ですが、ご本人のお声にふれることが出来ます。
この後、進展がございましたらコメントさせていただきます。
以上、よろしくお願いします。
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